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東京大学 社会連携講座「統合分子構造解析講座」公開シンポジウム
〜 分子構造解析が拓く新学術と食品関連産業 〜
< 日時 >2023年5月18日(木) 14時~19時頃
<場所>東京大学本郷キャンパス 伊藤謝恩ホール アクセスはこちら
< 形式 >現地での対面開催(定員上限のため申込制、5月上旬に参加可否をご案内)
<お問い合わせ>特任教授 佐藤宗太:satosota@appchem.t.u-tokyo.ac.jp
開催後の御礼
2023年5月18日、本シンポジウムは食品関連企業、投資関連会社、アカデミア、多くの皆様にご参加いただき、盛会裏に開催されました。ありがとうございました!基礎科学である分子構造解析が、食品関連分野においても強力な分析手法となること、さらには、産学連携によるオープンイノベーションを通して新産業創造の原動力となることを感じていただけたものと実感しました。日本の産業基盤を変革する新たな一歩を生み出していけることを、楽しみにしています!
開催概要
2022年4月に開設された、オープンイノベーション拠点「FS CREATION」における成果発信の場として、シンポジウムを開催いたします。
本シンポジウムでは、食品関連企業の経営者、研究者、開発担当者、品質管理担当者はもちろん、健康食品開発に関心を持つ起業家の方々にも、分子構造解析技術の魅力や可能性をご紹介します。
本シンポジウムでは、分子構造解析技術が食品関連産業にもたらす革新的なアプローチやビジネスチャンスに加えて、将来的な食糧難や環境的SDGsの観点から分子構造解析技術が果たす役割や貢献も紹介いたします。東京大学の研究者の講演と合わせて、統合分子構造解析講座のパートナー企業の中から食品関連企業における実践的な事例を交えて解説いたします。さらに、分子構造解析技術を活用した健康食品の開発や、その市場展開を見据えた際に直面する課題や解決策についても、意見交換できる場を提供いたします。
医食同源という言葉が示すように、健康の源は食にあります。将来的には、健康診断データや嗜好データを基に、栄養、サプリメント機能、楽しみといった多様な要素を考慮した食品が自動調理され、提供されると期待されます。また、食糧難や環境的SDGsの要請に応えるため、持続可能な食品の開発が求められています。このような未来像では、食品は断片的な要素ではなく、衣食住全てに結びついて人々の暮らし・健康に密着し、幸福感や満足感をもたらす重要な役割を果たします。分子構造解析がもたらす新学術は、食品中に含まれる、味や香り、食感に関わる成分を分子構造の観点から捉え直すことで、食品の持つ新たな可能性を引き出すことができ、今後ますます重要になってくると考えています。食品関連産業と連携し、高品質な健康食品の開発や、製品の改良・改善、資源の効率的な利用など、持続可能な社会を実現するための貢献が期待されます。
是非多くの方々のご参加をお待ちしております。
統合分子構造解析講座は、2023年11月から再スタートいたします。今回のシンポジウムを通じて、食品関連産業の皆様と一緒にオープンイノベーションを行いたいと考えています。分子構造解析を活用した研究開発を通じて、新しい製品や技術を共同で開発し、食品業界の発展に貢献しましょう。当講座の専門知識と、企業様のお持ちの製品や技術を融合させることで、より価値あるイノベーションを創出することができます。興味をお持ちいただけましたら、ぜひご一報ください。私たちと一緒に未来を創造しましょう!(担当:佐藤特任教授 Eメールアドレス:satosota@appchem.t.u-tokyo.ac.jp)
プログラム
14時 受付
14時半開始
司会:東京大学大学院工学研究科応用科学専攻 学術専門職員 間瀬俊明 氏
【第一部】基礎研究と産業を連結する「分子構造解析」
14:30-15:00 国立大学法人東京大学 藤田 誠 卓越教授 講演
「科学研究と健康食品開発」
【第二部】「統合分子構造解析講座」における産学連携オープンイノベーション
15:00-15:15 国立大学法人東京大学 佐藤宗太 特任教授 講演
「社会連携講座『統合分子構造解析講座』の取り組み」
15:15-15:30 国立大学法人東京大学 中間貴寛 特任助教 講演
「拡張結晶スポンジ法: 空間捕捉によるタンパク質の構造解析法の開拓」
15:30-15:45 休憩
【第三部】食品関連産業における「分子構造解析」
15:45-16:10 高砂香料工業株式会社 研究開発部門本部 分析研究所 坂口和彦 氏 講演
「結晶スポンジ法による微量香気寄与成分の構造決定の迅速化」
16:10-16:35 キリンホールディングス株式会社 R&D本部キリン中央研究所 谷口慈将 氏 講演
「分子構造を起点とした飲食品の研究開発」
16:35-16:50 花王株式会社 研究開発部門 解析科学研究所 大澤 一弘 氏 講演
「結晶スポンジによる食品中活性成分の選択抽出法の紹介」
【意見交換】
16:50-17:00 本シンポジウム参加者から講演者への質疑討論
17:00 おわりに
17時〜19時頃
情報交換会(無料)
各講演の概要
国立大学法人東京大学 藤田 誠 卓越教授 講演
「科学研究と健康食品開発」
大学の基礎研究が生んだ結晶スポンジ法は、単なる分子構造の解析手法だけではなく、医薬品や農薬、化粧品などの製品開発に直結し、また、食品の品質管理・品質評価にもつながるなど、真に価値ある社会実装が進んでいます。本講演では、食品業界が、今、なぜ科学研究に踏み込む必要があるか、新しい価値観を提案いたします。
国立大学法人東京大学 佐藤宗太 特任教授 講演
「社会連携講座『統合分子構造解析講座』の取り組み」
東京大学 社会連携講座「統合分子構造解析講座」は、2022年4月、三井リンクラボ柏の葉1に開設されたFS CREATIONを拠点として、産学連携によるオープンイノベーション型の研究活動を活発に行なっています。結晶スポンジ法をはじめ、複数の最先端分子構造解析法を統合的に利用する手法を、分子構造が鍵となる多様な産業分野に社会実装してきています。本講演では、その活動内容や研究体制を紹介いたします。現在、新たなパートナー企業を募集しているので、興味を持っていただけたらご一報ください!
国立大学法人東京大学 中間貴寛 特任助教 講演
「拡張結晶スポンジ法: 空間捕捉によるタンパク質の構造解析法の開拓」
結晶スポンジ法は、結晶スポンジがもつ細孔の空間に対象分子を閉じ込めることで、その分子構造を解析します。この「空間捕捉」の概念を有機小分子に限らずタンパク質に適用すれば、未踏のタンパク質構造の解析手法として活用できることが期待されます。そこで本研究では、結晶スポンジよりも大きな空間をもつカゴ型錯体にタンパク質を内包させ、空間捕捉を活用した構造解析に挑戦しました。NMRやX線回折、クライオ電顕などの手法と錯体への包接を組み合わせることで明らかになった新規タンパク質構造をご紹介します。
高砂香料工業株式会社 研究開発部門本部 分析研究所 坂口和彦 氏 講演
「結晶スポンジ法による微量香気寄与成分の構造決定の迅速化」
食品の香り成分の中にはppb~pptレベルの濃度でも全体の香りに対して重大な影響を与える成分が存在します。そのような成分の構造決定には大量の試料や多くの時間、工数を要するのが一般的であり、コストや環境負荷の面からも課題が多いです。結晶スポンジ法はNMR等と比較して測定に必要な試料が極微量であることから、試料中に含まれる極微量成分の単離精製工程の削減に大きく寄与すると考えられます。そこでグレープフルーツオイル中に極微量含まれる香気寄与成分の探索に結晶スポンジ法を適用したところ、従来よりも非常に短い工程で構造決定することが可能であった結果を発表します。
キリンホールディングス株式会社 R&D本部キリン中央研究所 谷口慈将 氏 講演
「分子構造を起点とした飲食品の研究開発」
天然原料に由来する飲食品は複雑な成分組成を示し、香味や機能性に寄与する重要化合物の構造解析であってもしばしば困難を伴います。一方で、化合物の分子構造情報は原料加工、飲食品製造、保存に至るまでに起きている化学反応を考察する上で極めて有用であり、これを明らかにすることで効果的な成分制御法の考案に繋がります。本講演では、その一例をビールやその原料であるホップに含まれている未知化合物の結晶スポンジ法での解析事例を題材としてご紹介します。
花王株式会社 研究開発部門 解析科学研究所 大澤 一弘 氏 講演
「結晶スポンジによる食品中活性成分の選択抽出法の紹介」
結晶スポンジ法は、これまで主に構造がわからない有機分子の構造解析法として活躍してきました。本講演では、結晶スポンジを有機分子の抽出材料として用い、生理作用を持つ茶カテキンについて、その効果の高い成分を選択的に抽出した事例について紹介します。複雑な混合物で構成される食品中から、特定の成分を抽出する手法は、付加価値の高い新たな機能性食品の開発につながると期待されます。
藤田 誠 卓越教授
国立大学法人東京大学 東京カレッジ・大学院工学系研究科応用化学専攻
2002年 東京大学大学院工学系研究科 教授
現在に至る
2012〜2013年 Pohang University of Science and Technology (POSTECH), Division of Advanced Materials Science 客員教授(兼任)
2018年より 分子科学研究所 特別研究部門 卓越教授(兼任)
2018年より 千葉大学 特別栄誉教授(称号)
2019年より 東京大学 卓越教授(称号)
詳細は藤田研究webサイトの研究室の紹介ページからどうぞ。
佐藤宗太 特任教授
国立大学法人東京大学 社会連携講座「統合分子構造解析講座」
2005年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(博士(理学))。2020年4月から現職。2023年4月から分子科学研究所 客員教授を併任。詳細はメンバーのページからどうぞ。
中間貴寛 特任助教
国立大学法人東京大学 社会連携講座「統合分子構造解析講座」
2020年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(博士(理学))。2020年4月から現職。詳細はメンバーのページからどうぞ。
坂口和彦 氏
高砂香料工業株式会社 研究開発部門本部
分析研究所 技術情報部 研究主任
大学院の農学生命科学研究科で天然物の全合成研究に携わる。2009年、高砂香料工業に入社し、分析研究所で香料成分の構造決定に携わる。2016年、東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻藤田研究室に出向し結晶スポンジ法を学び、2017年より社会連携講座「革新分子構造解析講座」に、2020年より「統合分子構造解析講座」に参加している。
谷口慈将 氏
キリンホールディングス株式会社
R&D本部 キリン中央研究所 主任研究員
2006年入社。専門は、天然物化学で、健康効果のある有効成分を天然物中から見つけて、構造を決定することを専門としている。東京大学社会連携講座に参加して、結晶スポンジ法を修得し、現在は後進の育成と、研究成果を活用したビジネスの可能性の検証に従事する。
博士(農学)
大澤一弘 氏
花王株式会社
研究開発部門 解析科学研究所 主任研究員
2009年入社。解析科学研究所で食品や化粧品関連の分析を担当した。2014年から化粧品の商品開発に携わる。2022年から再び、解析科学研究所に配属され、現在、社会連携講座に参加している。
東京大学 × 三井不動産 「統合分子構造解析拠点 FS CREATION」とは
柏の葉エリアにオープンした「三井リンクラボ柏の葉1」最上階に2022年4月に開設された、ライフサイエンス研究の基盤となる「統合分子構造解析」を主軸とする、本分野における世界唯一のオープンイノベーション拠点。ウルフ賞受賞など世界をリードする東京大学・藤田誠卓越教授と佐藤宗太特任教授を中心とするアカデミアグループと、国内3大分析装置メーカーを中心とする民間企業が参画しています。
・藤田 誠 卓越教授(東京大学・分子科学研究所)
・佐藤 宗太特任教授(東京大学 社会連携講座「統合分子構造解析講座」・分子科学研究所)
・株式会社島津製作所
・日本電子株式会社
・株式会社リガク
FS CREATIONティザーサイト
FS CREATION拠点紹介やプレスリリースなど
BSフジの番組「JAPAN MOVE UP! ~千葉・柏の葉 ライフサイエンス最前線~」で、女優の黒谷友香さんにFS CREATIONを探訪いただきました。世界に先駆けた研究開発環境が整ったオープンイノベーション拠点を紹介。YouTubeで配信中!
佐藤宗太特任教授が、キンタローさん、トンツカタンさんたちとともに柏の葉イノフェスに出演してみました(笑) 化学を伝えるカタチを探索中
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東京大学、三井不動産、分子科学研究所、(株)島津製作所、日本電子(株)、(株)リガク
三井リンクラボ柏の葉1に関連するプレスリリース:三井不動産